「対話」プロジェクトについて
新型コロナウィルスによって、さまざまな活動を
制限された私たちは、あらためて芸術と
社会・地域との関係と課題に向き合っています。
ひとびとはさまざまな工夫や創造性で、
新たなコミュニケーションを模索し、
困難の克服に取り組もうともしています。
いまこそ、現代の地域社会において芸術活動が
担うことのできる「対話」の機能に注目してみましょう。
このプロジェクトは、「CITY BEAUTIFUL:地域社会における「対話」を顕在化させるアートマネジメント人材育成事業」として、「対話」の機能と可能性を理論的に解釈することを踏まえたカリキュラム開発に取り組み、現場性をともなった実践的なマネジメントができる人材を育成することを目指します。
近年、社会への関わりを強く意識したアーティストの活動が注目されている一方で、鑑賞者の思考とスキルはそれに十分に対応できているでしょうか。たとえば「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」という潮流に対して、現実の地域社会に対する十分な調査や理解が伴うように、その基盤となる理論的学習の重要性を踏まえたプログラムを構築します。ここでは、「CITY BEAUTIFUL 都市は美学である」という理念のもと、多様な価値観や潜在的な地域資源、課題解決のための「対話」を推進できる人材育成に取り組みます。
現場性を伴って、固有の地域社会に向き合うとともに、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)の観点から、未来をひらいていく公共性への展望を見渡します。
講座レポート
「てつがく対話」というレッスン
多様な生き方を理解しあうための哲学対話の手法を用いて、地域社会を実体のある対象として把握するリテラシーの獲得を目標とします。そのための理論的な知識と実践者からの提言を把握することを出発点とします。
場をひらく「ちいき食堂」計画
地域の課題には、高齢化の加速とともに、子ども達の貧困や孤食も見逃せません。社会学的な視点とともに、芸術的なアプローチを検証しながら、高齢者から子ども達を対象とした「ちいき食堂」計画を興し、対話の場づくりへのマネジメント手法を学びます。
集いのための「あかり」開発
大学と産業界との連携によって、製品とサービス開発に資するマネジメント力を獲得します。人々が集うための照明デザインの開発を、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」をふまえた商品計画を目指します。
共感のための「アーカイブ」
プロジェクト活動の実行を記録し、さらなる調査研究、論考を付加します。地域社会と対峙していくためには、一過性のイベントの成功ではなく、そこに生まれた共感や課題の検証と普及が重要となります。これは「アーカイブ」の継続的な編集マネジメントの記録編とします。